今日の「きれい学」おススメの1冊
『日常の疑問を経済学で考える』日本経済新聞出版社 |
こんにちは西村有紀子です。今日のおススメはコーネル大学ジョンソンスクール教授でニューヨーク・タイムズ紙の常連コラムニスト、ロバート・H・フランク氏の『日常の疑問を経済学で考える』です。ソフトドリンクの容器が円筒形なのに、牛乳の容器が直方体なのはなぜ?洋服の前合わせが男女で違うのはなぜ?など130以上の日常のちょっとした疑問について、大先生が経済学の視点から解説してくれます。
経済学はこんなにも簡単で、私たちの生活に密着しているものなのだと親近感が湧くはずです。「機会費用」や「費用便益の原則」から物の値段が設定されていたり、機能、デザインまでが決まってくるわけですが、すべてのモノに対して、そうである理由が存在しており、経済活動に関わってくるものであれば、“費用”の概念が色濃く投影されているのです。単純に“なるほど!”と思える雑学的な側面もあるので、楽しめます。
アンダーラインポイント
Q 他の家電製品と違いノートパソコンがどの国の電圧でも使えるのはなぜ?
電圧は、110ボルトよりも220ボルトのほうが費用が少し安く、危険度が少し高い。どの国でもどちらのボルト数を取り入れるか議論が重ねられ、決定後は、選択した電圧に対応するための費用が投じられている。
すべての電化製品に変圧器を内蔵すればその要求は満たされるが、そのぶん費用も増す。冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの家電製品の圧倒的多数が、国外に持ち出されて使用されることがないのを考えると、余分な費用をかけて変圧器を内蔵する意味はほとんどない。
ノートパソコンは非常に珍しい例外である。生産当初は特にそうだった。初期のユーザーはノートパソコンを国内外への出張に持ち歩くことが多かった。こうした人々にとって、かさばる変圧器を国際線の機内に持ち込むことは大きな負担だ。したがって、パソコンメーカーは、最初から変圧器を内蔵したのである。
Q 24時間営業のコンビニエンス・ストアのドアに鍵がついているのはなぜ?
産業用ドアの大多数は、24時間営業ではない施設向けにつくられている。だから、ドアには鍵が必要だ。産業用ドアの大半に鍵が必要であれば、ドライブスルーのATMにも操作パネルに点字があるのと同じように、すべてのドアに鍵をつけるほうが発生する費用は少なくなる。
Q 新聞の自販機が、支払い金額以上の部数を取り出せる設計になっているのはなぜ?
おそらく、こうしたつくりのほうが製造費用をはうかに安く抑えられるからだろう。取り出し口に1部を排出するという複雑な機能はなく、コインがレバーの上に落ちると、前面のドアの掛け金がはずれ、ドアが閉まると掛け金がかかるという単純なしくみだ。ジュースの自販機も同じようにつくれば安くすむはずだが、そうしないのは便益製の問題にある。
支払い金額以上のドリンクを不正に入れれば消費者は利益を得るが、新聞は1部あれば充分で10部あってもなんの得にもならない。
Q 紙幣の肖像画は正面向きなのに、硬貨の肖像画が横向きなのはなぜ?
簡単に答えれば、画家はできれば正面からの肖像画を描きたいのだが、金属に浮き彫り細工を施すのは技術的に難しいからだ。硬貨に施される浮き彫り細工は、通常1600分の1インチの厚みしかなく、正面からの顔をひと目でわかるように彫りこむのは至難の業だ。一方、横顔であれば、輪郭だけで容易に判別できる。正面からの顔も細かく彫れば判別は可能だが、かなり費用がかかるだろう。
横顔のほうがつくりやすく判別しやすいなら、なぜ紙幣にも横顔を使用しないのだろうか。おそらく、詳細に描きこまれた正面からの肖像画を入れるほうが、偽札防止の効果が高いからだろう。
目次
序
1 直方体の牛乳カートンと円筒形のソーダ缶
2 無料のピーナッツと高価な電池
3 「職場」での不思議な話
4 他の人よりも多く支払う購入者がいるのはなぜか
5 競争とコモンズの悲劇
6 所有にまつわる神話
7 市場のシグナルを読み解く
8 海外のエコノミック・ナチュラリストたち
9 心理学と経済学の出会い
10 人間関係の市場
11 2つのオリジナル
最後に
謝辞
原注
訳者あとがき
海外でノートパソコンを使っていますが、携帯の充電器にも変圧器ついてますね。 |
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